主に千葉県における刑事弁護など


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訴訟能力のための精神鑑定

本日の参考記事→松本被告を精神鑑定へ 訴訟能力の有無を検討 Excite エキサイト : 社会ニュース

 精神鑑定というと、よく聞くのは「責任能力」についての精神鑑定です.
 「責任能力」があるかないかは、犯罪行為を行ったときの問題。
 参考記事で問題となっている「訴訟能力」は、訴訟を行っている時点に必要な能力で、”被告人としての重要な利害を弁別し、それにしたがって相当な防御をすることのできる能力”(判例の定義)をいうものとされています
 刑事手続において自分が置かれている立場をある程度正確に理解して、自分の利益を防御するためにある程度的確な判断ができるかどうかというところが判断のポイントとなります。
 訴訟能力がなくても、犯罪は無罪となるわけではなく、手続自体を進めても本人にその能力がないということなので、公判手続がストップします。
 つまり、
  犯罪を行った時点で心神喪失→責任能力なし→犯罪不成立で無罪
  訴訟能力なし(訴訟中の問題)→公判手続が停止→訴訟能力が回復したら公判手続を続行
 刑事弁護事件をやっていて、責任能力が争点となることもそう多くはないのですが、訴訟能力が争点となるのはさらにまれです.

 参考記事のケースでは、責任能力は争点になっていないようですね。
 問題は訴訟能力の有る無しですが、弁護側が専門家の意見書を提出してきていますので、高裁としても重大事件であることも考えて、裁判所としての精神鑑定をすることが必要と考えているのでしょう.
 もっとも、重度の聴覚障害者で、音声言語、文字言語もできないし、体系的な手話も十分使用することができず、言語を習得していないため、一般的抽象的概念と思考体系が欠けており、非言語的動作性知能についても精神年齢が9歳程度と見られる知的障害を負っている被告人に訴訟能力があるとする判断を最高裁は示したことがあり、訴訟能力がないとの判断を裁判所がすることは、容易にはないかもしれません。
 
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by cuts | 2005-08-20 06:57 | 刑事弁護