主に千葉県における刑事弁護など


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刑事の責任能力

本日の参考記事→<男性死亡>女が線路上に突き落とす 殺人容疑で逮捕 狭山 Excite エキサイト : 社会ニュース

 この事件、責任能力が問題になりそうです。
 記事中でもそのように記載してあります。
 このような場合、被疑者名は匿名ですね。記事でも「同市内の無職の女(46)」としか特定していません.
 犯罪が成立しない可能性を考慮してでしょうか。

 ところで、責任能力がまったくない状態ですと、犯罪は成立しないことになっています.
 つまり、 
  犯罪を行った時点で心神喪失→責任能力なし→犯罪不成立で無罪
となります。
 これが法律上の原則なのですが、これがなかなか心情的にはすっと受け入れられないもので、私もこの業界に入るまではなんでこのような制度があるのかと思ったものですし、今でも心情的に全て理解できるかといえばどうかあやしいところもあります。
 心情的に受け入れがたいのは、例えば本日の参考記事で言えば、
 ”人が一人死亡している事件だ。その原因は、被疑者がやったことに間違いがない。それなのに、その被疑者が制裁をまぬかれるのは許しがたい”
というものだと思います.
 制裁というとまず考えられるのは刑罰です。
 刑罰を与えるのは、「これこれのことをしてはならない」という刑法などの規範に反するからですが、このような規範を与えられても動機付けが類型的に見てできない者(これが責任能力のないもの)にまで刑罰を与えても無意味です. 
 刑罰により犯罪を無くそうという目的があると考えても、そのような者には単なる懲役は無意味ですから、この考え方からも責任能力のない者に刑罰を与えてもしかたがありません。
 というように、刑法の教科書には一致して責任能力のない者の存在=犯罪の不成立の場合を認めます.
 しかし、そのような方がまったく制裁をうけないのかというとそんなことはありません。
 今年の7月から医療観察法という法律ができ、重大犯罪を犯した場合は、今までの措置入院という制度より、より強制力のある入院形態ができましたので、これは一種の制裁といってよいでしょう.
ですから、責任能力のない者に制裁がないと考えることはできないわけで、責任能力のない者には別の制裁プログラムが用意されていると考えるべきなのだと思います.
 整理しますと、
  責任能力なし→犯罪は不成立
  しかし、別の制裁あり=一定の場合は医療観察法による強制入院
ということになるのではないかと考えています。

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by cuts | 2005-09-06 06:40 | 刑事弁護