主に千葉県における刑事弁護など


by cuts
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

これは”温情判決”だろうか?

本日の参考記事→<サザエ密漁>罰金払う金なく、50日間拘束の“温情判決” Excite エキサイト : 社会ニュース

 密漁の記事。
 密漁は漁業法違反に問われます。
 記事にもあるように通常は罰金で処理されます。
 罰金事件というのは、
  1 略式で請求
されることが多いのですが、場合によっては、
2 公判請求(正式裁判になること)
で処理されることもあります。
 略式請求で終わる場合というのは、
  a 被疑者も被疑事実を認めている
  b 検察官もこの事件は罰金でよいだろうと考え
  c 略式でよいかを被疑者に説明して、異議がないという書面を書いてもらう
ことが必要ですが、
  d 被疑者が罰金を支払える
ことが実務上は重要なようです。
 なぜかというと、略式で罰金刑が出てしまえば、被疑者は釈放されてしまうので、その時点で支払ってもらえないと、検察庁としては罰金の取りはぐれがおきてしまうからです。
 罰金を言い渡すのは裁判所ですが、罰金の徴収業務は検察庁で行っており、罰金の滞納は相当な金額にのぼっています。
 検察庁としては、罰金の滞納は避けたいところなのです。
 では、検察官は、罰金でよいと考えていても、被疑者が罰金を支払えない場合はどうするかというと、検察官は、正式裁判を請求します(公判請求)。被告人が勾留されていれば、そのまま勾留が続きますし、もともとお金がない被告人ですから保釈もされず、判決が出るまで拘束され続けます。
 そして、検察官は、法廷で罰金求刑をし、裁判官は罰金刑を言い渡す。
 ただし、身体を拘束した期間を1日5000円で換算しますから、判決時点では、すでに罰金を支払ったとするわけです。
 簡単に言いますと、
  ”被疑者・被告人は罰金が支払えない、検察庁は罰金の滞納を避けたい、だから、正式裁判にもっていって、被疑者・被告人にいわば体で支払ってもらう”
こういう構図なのです。
 私がこれまで経験した中でも、ホームレスの方の建造物侵入事件などでこのような手法が使われていました。
 参考記事のケースはまさにこの構図であり、記者は知ってから知らずか、”温情判決”と書いていますが、検察官が懲役刑を求刑したのに、裁判官が罰金刑にしたというならいざしらず、検察官も罰金求刑、裁判官もそれに追随して罰金判決という事案では、”温情判決”とは残念ながらいかないのではないと思います。
  
人気blogランキング 法律・法学部門5位(記事掲載時)
-現在のランキングについては、こちらをクリックしてください.(こちらをクリックしていただくと当ブログのポイントがあがります)
 
[PR]
by cuts | 2005-09-19 17:49 | 刑事弁護