主に千葉県における刑事弁護など


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耐震強度偽造問題は「偽造罪」にならない!?

耐震強度偽造事件で警察が合同捜査本部を設置
Excite エキサイト : 社会ニュース
 
 国交省からの告発を受けて、いよいよ警察が動き出しますが、この一件、何罪で立件するのか非常に難しい捜査になりそうです。
 国交省が告発しているのは、建築基準法違反。 しかし、これは法定刑が罰金50万円以下なので、これはあくまでも入り口でしょう。
 この一件は、耐震強度偽造事件といわれているのだから、偽造罪で立件できないのか?と思われる方がおられるでしょうが、この事件では偽造罪は無理だと思います。
 刑法で「偽造」といった場合、”名義を偽ること”を意味します。
 例えば、自動車の免許(これは都道府県の公安委員会が作成すべき文書です)を偽造組織が作ったとすれば、これは公安委員会の名義を偽ったということで、偽造罪になります(公務員の名義を偽ったので、公文書偽造罪)。
 今回の件では、建築士が自分の名義で、構造計算書を作成していますから、名義を偽ったことにはならず、偽造罪は成立しません。

 でも、建築士は内容をいつわっているのではないか、その点はどうなるの?という疑問が当然次に出てきます。
 このように名義を偽っているわけではないが、内容が虚偽という場合、刑法上は、虚偽文書の作成ということになります。
 虚偽文書の作成は、
 公文書(公務員が作成すべき文書)の場合は、虚偽公文書作成罪
がありますが、
 私文書(公務員以外が作成する文書)の場合は、医師の診断書についてのみ虚偽文書の作成罪があるだけ
です。
 つまり、私人の場合は、名義を偽っていなければ(自分の名前で文書を作成すれば)、内容虚偽の文書を作成しても、虚偽文書の作成罪には問われないということです。
 もちろん、これは内容虚偽の文書を作成してもよいということにはなりませんで、虚偽文書を作成して、それで相手をだまして金品を交付させれば詐欺罪になります。
 ただ、今回の件では、建築士が報酬をもらっていたところが、内容虚偽であったことを認識していたか否かによって、詐欺罪が成立するかどうか変わってきますし、単純に詐欺罪となるかというとなかなか困難な問題があるようです。

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by cuts | 2005-12-08 07:14 | 刑事弁護