主に千葉県における刑事弁護など


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幼児虐待に殺人罪の適用はありうるか

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2歳女児虐待により死亡、両親を傷害致死容疑で逮捕
Excite エキサイト : 社会ニュース

虐待のニュースはとぎれることがありません。
いつから日本はこうなってしまったのかと思います。

私が高校生のころ(もう20年以上前です)、FENという米軍の放送を英語がわからないながら聴いていましたが、繰り返し
 child abuse(幼児虐待)
という言葉が聞こえていました

 今から思うと、「幼児虐待はいけませんよ」とか「そういうのがあったら相談してください」という内容だったような気がします。
 日本ではそんなニュースは当時聞いたことがなかったので、そのときはアメリカ人はそんなことを気にしなければならないなんて大変だなあと思っていましたが、今では日本でも・・・という感じです。

 ところで、このような虐待のケースでは傷害致死容疑で逮捕→起訴というケースが多いです。
 殺意があって人を死亡させれば、殺人罪
 殺意がなくて人を死亡させれば、傷害致死罪
ですから、問題は「殺意」です。

 この「殺意」というもの、本人の自白がなくても、たとえば、凶器(銃とか刃物類)を使用したとか、どの部分をめがけたのかという客観的なところから認定していくのが、裁判官の事実認定のやり方です。

 虐待ケースでは殺人にならないのか?というのは素朴な疑問としてあるところですが、検察官は虐待のケースは殺人で起訴するのは慎重ですね(本件はどうなるかわかりませんが)。
 というのは、やはり凶器を使用していないというのが一番大きいのではないでしょうか。
 虐待ではなく、たとえば、被害者を囲んで数人でリンチして死亡させてしまったというケースでも、素手で被害者を死亡させてしまった場合は、これは殺人で起訴されるかもという場合でも、傷害致死だったりしますし。

 検察官が「傷害致死」で起訴してしまいますと、裁判官は「これは殺人」とは認定できません。
 これは、検察官の起訴よりも被告人から見て重くはできないという法律の原則があるからです。
 ですから、裁判員制度になれば、虐待で死亡したようなケースは、裁判員の適用になりますが、裁判員が「これは殺人だと思います」といっても、傷害致死の限度でしか認めることができないのです。 
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by cuts | 2006-07-07 21:14 | 刑事弁護