主に千葉県における刑事弁護など


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<オウム>松本被告の控訴棄却
Excite エキサイト : 社会ニュース

「<オウム>松本被告の控訴棄却 死刑確定強まる」というのがどこのニュースでも流れていました。

 この記事、訴訟手続きの問題とかがいろいろ絡んできますので、ニュースの解説読んでも疑問がわいてくるかもしれません。

☆ 日本は三審制ではなかったのか?なぜ東京高裁の控訴棄却で死刑確定の公算が高くなるのか?
というご質問に対して。
→日本は三審制です。ただ、その三審制というのは、起訴された事実があったかなかったかを審理する場合なのです。
 今回の松本被告の場合は、犯罪事実の有無の問題ではなく、
 1 訴訟能力があったのか否か
 2 弁護側の控訴趣意書(控訴の理由を記載したもの)の提出期限が遅れたのがやむをえなかったのか否か
という手続きの問題でした。

 東京高裁は、
 1 訴訟能力はある
 2 弁護側の控訴趣意書(控訴の理由を記載したもの)の提出期限が遅れたのは手続き違反
ということで控訴を棄却してしまったのです。

☆ 今後の手続きはどうなるのか?というご質問について
→「手続き違反」と判断した東京高裁の決定については異議申し立てができます。
 この場合は、東京高裁の別の部にまずかかります。
 異議申し立てが認められないと、さらに最高裁に特別抗告という異議申し立て手段がありますが、手続きに違反しているかどうかという点だけを問題にする(つまり、松本被告が起訴された事実をやったか否かについては問題にしない)ので、各報道会社は、弁護側に勝ち目は薄いとみて、「死刑確定強まる」という報道をしているのだと思います。

☆ 訴訟能力の有無が問題になっていたようだが、訴訟能力がないと無罪になるのか?という質問について
→訴訟能力がないと判断されても無罪にはなりません。
 訴訟能力はというのは、刑事手続において自分が置かれている立場をある程度正確に理解して、自分の利益を防御するためにある程度的確な判断ができるかどうかというところが問題になるもので、これがないと、公判手続きを停止して、回復を待つということになります。

図式的にあらわすと、
 訴訟能力なし(訴訟中の問題)→公判手続が停止→訴訟能力が回復したら公判手続を続行

 無罪かどうかが争われるのは、「責任能力」というもので、これは訴訟能力とは別の問題です。
 訴訟中ではなく、「犯罪を行った時点」でどうだったかが問題となります。

 犯罪を行った時点で心神喪失→責任能力なし→犯罪不成立で無罪
 





 
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by cuts | 2006-03-28 08:14 | 刑事弁護

安楽死と尊厳死

富山で医師(外科部長)が病院には無断で患者7人の人工呼吸器をはずした
Excite エキサイト : 社会ニュース

 くだんの外科部長は尊厳死を主張ということですが、安楽死や尊厳死というのは非常に微妙な問題を抱えているものです。
 安楽死とか尊厳死というと同じようなニュアンスに聞こえてしまいますが、
 法律上は、

 安楽死→薬剤などを投与し、積極的に生命を縮める行為。
 尊厳死→人工呼吸器を外す行為などを含む治療行為の中止

をいいますから、積極的に生命を縮めたのかどうかというのが2つをわけるポイントです。
 安楽死や尊厳死の問題が法廷に持ち込まれることはまれにあるのですが、最近では、東海大病院事件というのがあり、横浜地裁が95年に示した要件というのがあります。

 安楽死では、
 (1) 患者に肉体的に耐え難い苦痛がある
 (2) 患者の死期が迫っている
 (3) 苦痛を和らげる方法がない
 (4) 患者の明らかな意思表示(同意)
です。
 報じられているケースでは、意識不明の患者さんということですから、そもそも(4)の患者の明らかな同意がないので、安楽死だった場合は、認められる条件をそろえられません。

 尊厳死の場合にも、横浜地裁は要件を示しており、
(1) 死が不可避な末期状態
(2) 患者の意思表示(家族による推定も含む)
(3) 自然の死を迎えさせる目的に沿って中止を決める

となっていますが、患者の意思表示ないし家族の意思については、十分なインフォームドコンセント(説明と同意)が必要なところであり、この辺がどのようなところなのかも警察の捜査のポイントになることでしょう。
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by cuts | 2006-03-26 08:13 | 刑事弁護

救急医療の問題点

最初の搬送先が対応できない救急医療は問題ではないかという毎日新聞の記事
Excite エキサイト : 社会ニュース

 救急医療が整っているかどうかというのは、大問題ですね。

 交通事故の後遺症事案を担当していますと、当初の搬送がなかなかできなくて、遠くの病院にようやく入院できたというようなケースや、当初は近くの病院に入院できたが、そこでは手に負えないといわれてすぐに別の病院に搬送されたとかというケースを目にします。

 救急医療は
  1次救急=入院を必要としない患者向け、
  2次救急=入院、手術を必要とする患者向け
  3次救急=重症、高度専門医療を必要とする患者向け
に分かれています。
 
 記事では「地域社会のニーズを考えれば、初期から3次まで対応できる医療機関が理想的だ」との主張が医師からでているとのことなのですが、各病院の思惑が絡む問題だけにそう簡単にシステムを構築できるわけではないのでしょうね。 
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by cuts | 2006-03-19 06:50 | 犯罪被害